借地借家法は、宅建試験では毎年必ず2問出題されるテーマ。借地権と借家権からどちらも1問出題と狙いやすいが、少々複雑なテーマでもあるので、苦手としている受験生は多い。しかし、皆が苦手とするテーマを取りこぼさずに特典することは、相対的に合格点が決まる宅建試験では勝敗を決めると言っても過言ではないほどに重要である。ここでは、借地権についてのポイントをまとめてみた。
借地権のポイント
- 第三者への対抗要件…登記(引き渡しのみは×)
- 下限…30年以上
- 定期借地権の契約には、説明義務はない。なお、定期建物賃貸借には説明義務がある
- 借地権の主張には登記が必要
- 30年満了後の二回目に20年、10年よりも短い期間を定めた場合、最低ラインの20年、10年になる
- 一般定期借地権…期間の定めがなく設定できる。要書面
- 事業用定期借地権…10年以上50年未満で公正証書により契約
- 借地権は何があっても最初30年未満は×。問題では借地権消滅などで引っ掛けてくる
- 定期建物賃貸借契約の終了は、賃貸人が期間1年~6月前に通知をする必要がある。ただ6月前が過ぎて遅れても、通知をした日から6月後になる。この場合、期間満了後になっても単に終了時期がズレ込むだけであり、自動更新された訳ではない
- 地代を「減額しない」特約は×であり、減額請求できる。なお増額しない特約は有効
- 「賃貸アパート事業用の建物」…居住用物件となる。人が居住するため。したがって、事業用定期借地権は設定できない
- 建物譲渡付借地権は書面不要でOK
- みなし承諾制度…再築の通知後、2ヶ月以内に返答がない場合、承認されたとみなされる。なお更新後には適用されない
- 更新後に勝手に再築した場合…借地権設定者は解約の申し入れができ、その3ヶ月経過後に借地権は消滅する
- 地代の増減額請求…一定期間増額しない特約がある場合は増額できない。なお、減額しない特約がある場合は、一定要件で減額できる。どちらも借地人保護の観点があり借地人に有利になっている
- 「一時使用」というワードがあれば、借地権は適用されない。民法の賃貸借契約になる
特殊な借地権のポイント
①一般定期借地権
- 期間…50年以上
- 契約の更新…なし
- 再築による延長…なし
- 建物買取り請求権…なし
- 建物を撤去し、更地で返還
- 書面・電磁的記録、様式自由
②事業用定期借地権(事業用のみ:ファミレス等)
- 期間…10年以上50年未満
- 契約の更新…なし可能
- 再築による延長…なし可能
- 建物買取り請求権…なし可能
- 建物を撤去し、更地で返還
- 公正証書のみ
③建物譲渡特約付借地権
- 期間…30年以上
- 設定年経過後、所有権が借地権設定者に帰属する
- 口頭でも可(一般的には仮登記で行われている)